【NEO 農村生活 〜 心の豊かさを求めて〜】

九州・宮崎で「玄米ベジ弁当」をつくるバーシーが追求する「心の豊かさ」とは。

NEO農村生活~心の豊かさを求めて~

【椎葉村(宮崎)】「焼畑」は、森を育む「自然循環農法」

宮崎県椎葉村。宮崎北部の山奥で行われている伝統農法、焼畑

焼畑は宮崎県椎葉村で古くからおこなわれている「自然循環農法」

毎年8月初めに山の斜面を焼く「火入れ」が行われます。

灰を肥やしにして、1年目は蕎麦、2年目はアワとヒエ、3年目は大豆と小豆を育てます。その後、30年休耕。地力が自然に回復するのを待ちます。

「森を育む」農法として、次世代に受け継いでいきたい「世界農業遺産」です。

 

「宮崎県椎葉村は、著者バーシー(椎葉康祐)のルーツがある場所です。

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宮崎県椎葉村は、山に囲まれた宮崎北部の山間地域。

僕の祖父より上の世代は、椎葉の山にずっと住んできました。

その椎葉村では毎年8月初め、「焼畑」という伝統農法の「火入れ」が行われます。

今回は、「焼畑の火入れ」に参加した時の様子についてお伝えします。

 

 

焼畑」は宮崎県椎葉村で古くから行われている「伝統農法」

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焼畑」は、椎葉村で古くから行われている農法です。

平地が少なく、山の斜面を利用するしか方法が無かったというのもあり、

先人によって生み出された「生活の知恵」ともいえるこの農法。

 

一説によると、約5000年前(縄文時代)から、

この「焼畑」は行われているといいます。

(参照:椎葉の焼畑~未来へつなぐ、森と人々のものがたり~、椎葉村役場農林振興課)

 

焼畑」は「自然との共生」を意識した「自然循環農法」

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焼畑」は、「自然との共生」を意識している

自然循環農法

 

「命を育む」椎葉の山を利用して行われる「焼畑」には、

「山の神」への感謝は欠かせません。

 

畑に火を入れる前に、

「山の神」に祈りを捧げます。

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火入れが無事終わるように、山の神に御神酒を上げて、

「火入れの唱え言」を言います。

 

火入れの唱え言

このヤボに火を入れ申す
ヘビ、ワクドウ(蛙)、虫けらども、早々に立ち退きたまえ
山の神様、火の神様、お地蔵様、どうぞ火の余らぬよう
また、焼き残りのないよう、お守りやってたもうれ

 

お祈りが終わると、 「火入れ」が開始されます。

今回畑に放つ「火」は、

火入れ参加者が力を合わせて「火起こし」した火を使います。

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掛け声に合わせて両側からロープを引っ張り、

火起こしの棒を回して、

摩擦の力で火を起こします。

 

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火種を竹の筒に入れてブンブン回すと、

炎が大きくなりました!

竹の筒を回しているのは、

焼畑伝承者の椎葉勝さんです。

 

みんなで起こした火を使って、畑に火を入れます。

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山の斜面を焼き、その灰を肥やしにします。

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焼け残りが無いよう、一面をキレイに焼きます。

キレイに焼けました。

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まだ地面が熱いうちに、

蕎麦の種を播いていきます。

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蕎麦の種。

先祖代々、「種取り」をして大切に受け継がれてきた、

「命の種」です。

 

1年目は蕎麦、2年目はアワとヒエ、3年目は大豆と小豆を育てます。

その後、30年休耕

地力が自然に回復するのを待ちます。

 

焼畑は、土の養分を使う「穀類」を育てた後、

「緑肥」ともいわれる、土を肥やす「豆類」を育て、

そのあと、自然に地力が回復するまで長期間休耕。

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30年ほどかかるサイクルで、

「不採算」「非効率」であるのは確かですが、

「自然循環」に則ったサイクルなので、

農を営みながらも、自然を破壊することなく、

「自然環境を保全することができます。

 

椎葉村の「焼畑」は、

「人間の暮らし」と、「自然の営み」との

「バランス」を考えた、

森を、山を育む「自然循環農法」です。

 

「世界農業遺産」に認定された「焼畑

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2015年12月に、

椎葉村焼畑」を含む

「高千穂郷・椎葉山地域」が

国連食糧農業機関(FAO)によって

「世界農業遺産」に認定されました。

 

「椎葉の焼畑が、

地域の人たちによってその土地の自然や文化を保全

持続的に行われているということが、

世界的に認められている一つの証明になっています。

 

焼畑を通じて伝えたい、「地域」への想い。「自然」への想い。

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椎葉村の「尾向地区」の焼畑火入れは、

焼畑の伝承者、民宿 焼畑の椎葉勝さんが主導のもと、

地域の皆さんはじめ、

椎葉村外の方々も多数集まる椎葉村の「一大イベント」として、

毎年8月3日に行われています。

 

ただ、火入れができる条件は、

火入れ日までに3日間雨が降らないこと。

天候次第では、必ずしも8月3日には火入れを行うことはできません。

 

それでも、8月3日は椎葉村外から多くの人が焼畑を見に来られるので、

椎葉の地域の方々との「交流会」や、

「太鼓」や「民謡」のパフォーマンスなどの「催し」

毎年恒例で行われるようになっています。

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今年(2019年)は非常に天候が良く、

予定通り「焼畑火入れ」が 実施されました。

たくさんの訪問客が、地域の方々のサポートを受けながら

「火入れ作業」を体験していました。

 

また、少しでも多くの方々に「椎葉の焼畑」の理解を深めてもらおうと、

椎葉村役場農林振興課の発行、株式会社さとゆめさんの編集で、

「椎葉の焼畑~未来へつなぐ、森と人々のものがたり~」という冊子が作られています。

 

焼畑」の手順や、「焼畑」の歴史、

焼畑」がなぜ「自然循環農法」と呼ばれるのか、

焼畑」がどのようにして「地域コミュニティ」を形成しているのか。

詳しく書かれている冊子です。

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冊子の入手方法については、

椎葉村役場農林振興課に問い合わせていただくことをオススメします。

www.vill.shiiba.miyazaki.jp

 

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焼畑伝承者の椎葉勝さんが語った、

火入れイベントに込めた「想い」が耳に残っています。

 

山を守る。森を守る。地域の伝統を守る。

そのための重要な資源は「人」なんです。

「人」がいなければ、地域はダメになる。

 

この地域を守るために必要なのは、

「都会」の人のアイデア

 

「都会」と「田舎」をつなぐアイデアが、

地域を守る。

 

「都会」の人をこの地域に呼び込むには、

この地域の人らが「受け入れる環境」を作ること。

 

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焼畑火入れ」のイベントは、

地域になじみのない、地域外、村外の人たちを呼び込み、

焼畑」通じて森を、山を、地域の伝統文化を守ることに対する

興味関心を喚起したいという「想い」があるのだと、

勝さんの話を聴いて僕は感じました。

 

このイベントに訪れた人たちから、

一人でも多くの人が

「椎葉に住みたい」

焼畑を伝承したい」

「山の自然を守りたい」

そう思ってくれる人が現れることを期待しているのだと思いました。

 

僕も実際、

椎葉はルーツがある場所ですし、

地域の伝統文化や自然を大切にしたいという気持ちがあるから、

毎年「焼畑火入れ」に参加しています。

 

そして、

森を、山を、自然環境を守ること、

椎葉の伝統文化を受け継ぐことが「循環」を生み、

次世代に継続する「暮らし」を作ることなんだと。

その「大切さ」に気づかされ、

もっとたくさんの人たちに共有したい「体験」「学び」だなと

感じています。

 

 

皆さんもぜひ、椎葉の「焼畑」へ。

 

森を育む自然循環農法、

椎葉村の「焼畑」。

 

焼畑火入れ」は、毎年8月3日が予定日です。

それに合わせて、僕は毎年「火入れ」に参加しています。

 

みなさんもぜひタイミングがあったら、

一緒に「焼畑」を訪問しませんか?

 

椎葉村までのアクセス

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椎葉村は「秘境」と言われるほど、

九州のほぼ真ん中、九州山地に位置する

超絶「山奥」です(笑)。

 

宮崎空港から車で約3時間、

熊本空港から車で約2時間。

 

公共交通は非常に不便なので、

空港からレンタカーをしていくのが一般的な行き方です。

 

椎葉村への訪問に興味がある方は、

バーシーにお気軽に連絡ください。

タイミングが合えば、レンタカーを乗り合わせて一緒に行きましょう。

 

また、椎葉村観光協会に問い合わせてみるのもいいでしょう。

www.shiibakanko.jp

 

椎葉村の自然、伝統文化、そこに住む人々。

椎葉村にふれあうことで、

自分自身の生き方や考え方、価値観に、

何かしらの「影響」が与えられるかもしれません。

 

古くは縄文時代から受け継がれている、

椎葉村の伝統農法「焼畑」を体験すること、

強くオススメします。

 

ぜひ、一緒にいきましょう!

 

バーシー/椎葉康祐

 

 

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